写真:エチオピア・グランド・ルネサンス・ダム(GERD)
エチオピアでビットコイン採掘をする投資家・企業が増えています。エチオピアといってもすぐにイメージがわく人は多くないと思います。なぜ、今エチオピアなのでしょうか?一言で言うと、「巨大な水力発電ダムが完成し、電気があまっているから」となります。
本当にそれだけで、ビットコイン採掘を始めて大丈夫なのでしょうか?エチオピアの状況を検討する前に、カザフスタンで起こったことを理解する必要があります。
(1) カザフスタンの教訓~ビットコイン採掘で電力がひっ迫
私たち來來Rai Laiは、新しい場所でのビットコイン採掘を実施する前に、それぞれの国の電力供給・消費の動向、政治状況、法体制など、いろいろな観点から、検討を行います。現在電力が余っていて、電気代も安いからといって、未来永劫そういう状態が続くとは限りません。
例えば、カザフスタンは、電気代が安いということで、多くのビットコイン採掘をする投資家や企業が終結しました。私たちもカザフスタンでの採掘を検討しましたが、「電力インフラが老朽化していて弱い」ということが様々な報告書に書いてあり、最終的にはカザフスタンでの採掘はしませんでした。
カザフスタン最大の石炭火力発電所「Ekibastuz GRES-1 」
その後起きたことは、電力のひっ迫です。中国がビットコインを含む仮想通貨の採掘を禁止したことにより、陸続きの中国から、多くの投資家や企業が、カザフスタンに採掘マシンを移動させ、一挙に採掘を開始したことがその原因です。中には、盗電した電気で採掘をする人や、地方の役人に賄賂を払って、電気を安く融通してもらって採掘をする採掘人も多かったと聞きます。
その結果、電力がひっ迫しただけでなく、電力の設備で火災が発生するなどの事故が発生し、停電が多発したことから、ついに政府も2021年10月に、ビットコイン採掘を規制をせざるをえなくなりました。現在では税金を払ってビットコイン採掘をするか、地下に潜って(当然賄賂などを払う)採掘をするか、の究極の2択になっているとも言われます。
参考記事:カザフスタン政府、100以上の違法な仮想通貨マイニングファームを摘発(コインテレグラフ2022年03月16日付記事)
これらの教訓から、今回視察をしたエチオピアでのビットコイン採掘がどれくらい続けられるのか、検討をしてみました。(その2に続く)