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ビットコインの採掘マシンとは?その発展と歴史
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ビットコインの採掘マシンとは?その発展と歴史

ビットコインの採掘は、ビットコインが初めて導入された2009年から行われてきました。ここでは、ビットコインの採掘マシンがどのように発展してきたのかを振り返ってみます。


(a) パソコンによる採掘(2009年~2011年)

ビットコインの草創期のマイニングは、特別なコンピューターを用意する必要はなく、パーソナルコンピューターのCPU(中央演算処理装置、コンピューターの脳)で行われていました。誰でも市販のパソコンを使って、簡単にマイニングすることができました。

しかし、ビットコインの人気が高まるにつれて、より多くの人々がマイニングを開始し、競争が激化しました。パソコンを使ってビットコインを採掘する人が増えれば増えるほど、採掘に投入されるコンピューターの計算能力が投入されるため、一つのパソコンで採掘できるビットコインの数はどんどん減ってしまいます。

ビットコインが誕生した2009年から2012年までの約4年間は、取引データを保存したブロックが、毎10分おきに認証されてブロックチェーンに繋がれる度に50BTC(2023年の3月現在は毎10分に6.25BTCしか新規発行されません。

なぜ、新規発行されるビットコインの量が減るのかは、「半減期」で詳しく説明しています。)という量のビットコインが新たに発行され、採掘するコンピューターを動かしている人に報酬として配られていました。

それでも、採掘(新しい取引の認証のために計算問題を解いて報酬をもらうこと)をするコンピューターが増えれば増えるほど、同じ50BTCという報酬のパイを多くのコンピューターで分け合うことになるので、計算能力の小さいパソコンではほとんど報酬がもらえなくなってしまうようになりました。

 

(b) GPUによる採掘(2010年)

2011年くらいになると、ビットコインの採掘にはより強力なコンピューターが必要となり、次第にGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックス・プロセッシング・ユニット)がマイニングに使用されるようになりました。

GPUは、通常はコンピューターゲームの画像処理に使われますが、普通のパソコンよりも複雑な計算を高速に行うことができるので、ビットコインの採掘にも使われるようになりました。パソコンのCPUよりもはるかに効率的な採掘が可能(投入したGPUのでの採掘は、パソコンの6倍ものビットコインの報酬が得られたとのこと。)でしたので、パソコンで採掘をしていた人はますますもらえる報酬が少なくなってしまいました。

(c) FPGAによる採掘(2011年~)

その後、2011年になると、ビットコインの採掘に投入されるコンピューターの計算能力は加速度的に増えて、GPUですらあまり採掘できるビットコインの量が小さくなってきてしまいました。そこで、採掘の効率性とスピードをさらに向上させるため利用されるようになったのが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)です。FPGAは、特定の計算をすることに特化してプログラム可能なチップで、GPUよりも電力消費を大幅に削減しながらマイニングの速度を上げることができました。

GPUとFPGAの違いは、GPUは一般的な計算を行うように設計されているのに対して、FPGAは、特定の計算問題を解くために、ハードウェアとソフトウェアを設定することで計算能力を飛躍的に高めることができます。

GPUが一枚の紙で紙飛行機を作るのに対して、FPGAは特定の目的のために、必要なレゴを組み合わせて作る特別な作品というようなイメージになります。一枚の紙は、折り鶴を作る、メモを書く、汚れを拭く、燃やすいろいろな用途に使えるので便利ですが、一枚の紙で紙飛行機を作ろうとすると、本物の飛行機のような見栄えの飛行機を作ることは難しいです。

GPUはこれに似ていて、コンピューターの画像などを作ったりいろいろな用途に使えますが、ビットコインの採掘のための計算だけに使われるものではないので、効率がどうしても低くなってしまいます。

一方、レゴのブロックを組み立てれば、外見は本物みたいな飛行機になります。レゴのブロックは、飛行機の見栄えが悪ければ、ブロックを組み替えてもっとかっこうのよい飛行機を作ったりできます。ブロックを分解すれば車だったり、家だったり作ることが可能です。

FPGAもこれに似ていて、液晶パネル、オーディオ、通信機器、ゲーム機、メモリカード、プリンタ、LED表示機ハードウェア等に使われますが、FPGAの回路を変更すれば、同じFPGAは別の用途に使うことができます。ビットコインの採掘はその用途の一つになります。


(d) ASICによる採掘(2013年~)

そして現在、最も効率的なビットコインマイニングハードウェアはASIC(Application-Specific Integrated Circuit:アプリケーション特化型集積回路)です。ASICは、特定の計算問題、つまりビットコインの採掘に特化して設計された半導体チップで、非常に高い計算能力と効率性を持っています。しかし、その反面、ビットコインの採掘の為だけに設計され、製造をするため、ASICの製造コストは大きくなり、大量生産をしない限りコストは下がりません。

FPGAとASICの違いは、FPGAはプログラムを変えることで、ビットコインの採掘のための計算以外の目的に転用をすることが出来るのに対して、ASICはビットコインの採掘の計算の為だけに設計・製造されます。FPGAが「必要なレゴを組み合わせて作る飛行機」だとすると、ASICは「特注の飛行機模型」というイメージになります。レゴは分解して車や家を作ることが出来ますが、「特注の飛行機模型」は、分解しても、車や家を作ることはできません。その代わり、レゴに比べると、細かい部分まで本物の飛行機そっくりの見栄えのものができます。

「飛行機の模型を作る」という目的で考えれば、「特注の飛行機模型」が一番目的に合ったものができますが、「特注の飛行機」模型は他の目的に使うことはできません。分解してしまえばただのガラクタになってしまいます。ASICのビットコイン採掘機器はビットコインの採掘には一番適していますが、他の目的には一切使えません。分解してしまうと基本的にはガラクタになってしまいます。

レゴで作る飛行機の模型は「飛行機の模型を作る」よりもちゃんとした見た目の模型を作ることができますが、特注の飛行機模型には及びません。それでもレゴを分解しても、ガラクタにはならず、家や車を作ることが出来ます。FPGAはこれと同様に回路を変更すればビットコインの採掘以外の目的に使うことができます。
このASICの採掘マシンの発売計画を最初に発表したのがButterfly Lab(バタフライ・ラブ)というスタートアップ企業でした。しかし、Butterfly Labは結局一般の採掘業者向けに発売をすることはできず、2013年の1月にYifu Guo氏が率いるAvalon(アバロン)が最初に一般消費者向けにASICの採掘マシンを発売し、顧客に納入しました。この採掘マシンの性能(計算スピード)は66GH(1秒間に660億回の計算)で、1台の値段は1,299米ドルでした。(資料出所

 

ASICの採掘マシン第1号(ただし市販は遅れ第1号にならなかった)のButterfly Labの採掘マシン(マイアミで行われた会議Mining Disrupt 2024にて、Bitcoin Mining Museumが出展していたもの)

 

 

ASICの採掘マシンの市販第1号のAvalon1(マイアミで行われた会議Mining Disrupt 2024にて、Bitcoin Mining Museumが出展していたもの)

 

 

(e) ビットメイン社の大ヒットマシン「S9」の登場とその後の採掘マシンの進化

2013年のASIC(Application Specific Integrated Circuit、アプリケーション特化型集積回路)の採掘マシンの登場以降、採掘機器は急速に進化し、半導体の先進的なプロセス技術が次々と採用されてきました。

半導体のプロセス技術とは、半導体を製造するための手法や技術のことをいいますが、先進的な技術が採用されることで、より微細な半導体チップを製造することができます。半導体チップは微細であればあるほど、高速に計算ができるため、同じ計算をする場合でも消費する電力が少なくてすみます。

このプロセス技術を表す尺度として「nm(ナノメートル)」という単位を使っています。この数字が小さければ小さいほど、微細で効率的な半導体チップであるということです。

皆さんも使っているスマートフォンに使われている半導体チップもどんどん微細なチップが採用されて、性能が上がったり、電池が長持ちになったりするのと同じで、採掘マシンに搭載される半導体がどんどん微細になればなるほど、性能がアップします。

2013年に発売されたAvalonの性能が66GH(1秒間に660億回の計算を行う)でしたが、そこから、ASICの採掘マシンに搭載される半導体チップの進化が急速に進んでいきます。先進的な半導体チップが採用されればされるほど、採掘マシンの採掘の効率が向上し、同時に消費電力も抑えられるようになりました。

2014年 - BitmainのAntMinerシリーズ: Bitmainは、28nmのプロセスを採用したAntMiner S3をリリースしました。このマシンは、ハッシュレート(採掘マシンの性能)が441GH/秒(1秒間に4,400億回の計算を行う)でした。

2016年 - 16nmプロセス技術の導入: Bitmainは、AntMiner S9をリリースしました。このマシンは、16nmのプロセス技術を採用し、ハッシュレートが14THで、それまでのマイナーよりもはるかに高い効率を実現しました。このAntMiner S9は、ビットコイン採掘業界で大きなヒットとなった機種でした。(ちなみに、私たちも最初にS9での採掘を開始しました。)

私たちが2018年に最初に購入したAntminer S9(13TH)

2018年 - 7nmプロセス技術の導入: Bitmainは、AntMiner S15をリリースしました。これは7nmのプロセス技術を採用し、ハッシュレートが28TH/秒で、パフォーマンスが大幅に向上しました。
 
私たちが導入したAntminer S15
 
2019年以降 - 更なる先進テクノロジーの採用: BitmainのAntMiner S19 Proは、新たに7nmのプロセス技術を採用し、110TH/秒のハッシュレートを達成しました。
 
この7nmのプロセス技術がどれくらいすごいかというと、現在の最新のiPhoneには3nmのプロセス技術が採用されているとのことですが、この半導体の微細化には技術的なハードルがどんどん上がり、現在3nmの半導体チップは、2023年現在、台湾のTSMCぐらいしか製造できないようです。(資料出所:EE Times Japan「3nmの増産目指すTSMCの課題と現状
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