電気代は、資源・エネルギーの分布、経済の発展度、政治体制、インフラの発達度など、多種多様な要素によって影響を受けます。以下に、これらの要素に基づいた電力コストの傾向を詳しく説明します。
資源・エネルギー分布: 電気を作ることができるエネルギーには、化石燃料(石炭、ガス、石油)、原子力、風力、太陽光、水力などがありますが、それぞれの国・地域にある自然資源により、電力供給の形態は大きく異なります。例えば、豊富な水力資源を有する国や地域(カナダ、ロシア、ノルウェー、ネパール、パラグアイ、キルギスタンなど)では、電力コストは相対的に低い傾向があります。石油やガスの豊富な資源を持つ国(クウェート、イラク、イラン、サウジアラビア)も電気代が安いです。一方、日本をはじめとして石油やガスなどの化石燃料の輸入に大きく依存している国では、電力コストが高くなりやすいです。
経済の発展度: 経済が発展している先進国では、通常、電力供給が安定していますが、これは高い電力コストとなることが多いです。逆に、発展途上国では、電気代が低いことが多いものの、電気を必要としている人や会社が多いことから、安定的に電気が余っていないことが多く、ビットコインの採掘に電気を大量に消費することは政治的にも微妙になりがちです。
政治体制: 電気代は政治体制によっても大きく影響を受けます。電力の価格設定は、特に共産主義・社会主義国では、電気代が安く設定されていることが多い一方、長期的な電力のインフラストラクチャーを整備する資金が足りず、設備が老朽化しているケースも多いです。一方、民主主義国では、電力供給者間の競争により、電力価格が市場の供給と需要により決定されることが多いですが、電力価格が高くなることが多いです。
インフラの発達度: 電力供給のためのインフラの発達度も電力コストに影響します。電力供給網の老朽化により、電気が不安定になったりすることで、維持コストが高くなり、それが電気代の上昇につながってしまうことがあります。例えば、ナイジェリアはアフリカ最大の人口を有する国でありながら、その電力インフラは非常に貧弱です。世界銀行のデータによれば、ナイジェリアの人口の約半数は電力接続がなく、大都市でも頻繁に停電が起こります。また、電力供給が安定しないため、安定的な電力供給が必要な工場などは自家発電に頼らざるを得ない状況です。自家発電は、一般的にはディーゼルやガソリンの発電機を使用することが多く、これらの運用コストは高く、電気代は安くても、電気を安定的に供給する為のコストが高くなってしまいます。
電力の輸入・輸出:さらなる要素として、電力の輸入・輸出があります。電力の輸出入が容易な地域(例えばEU諸国間)では、電力価格が低く抑えられることがあります。一方で電力の輸出入が困難な地域では、電力価格が高くなる可能性があります。また、再生可能エネルギーの利用度や政策、環境規制の厳しさなども電力コストに影響を与えます。
主要国の電気代の比較