ビットコインの半減期は、ビットコインにとっての重要なイベントで、マイニングの報酬、通貨の供給、そして価格にも影響を与える鍵となります。
ビットコインの発行量
ビットコインの発行量は、あらかじめプログラムによって決められています。「ビットコインのマイニング(採掘)って何?」で説明したように、マイニング(採掘)でもらえる報酬の大半が新たに発行されたビットコインですが、この報酬はビットコインのブロックチェーンに1ブロック追加されるたび(要はマイニングして取引が「正しい」と認証されるたび)に発行されます。
ビットコインの発行量は、2024年9月現在は1ブロックごとに3.125BTC発行され(マイニング(採掘)で計算問題を最初に解いたコンピューターに配分されます)ています。2024年4月の半減期直後には、19687500BTCが発行済となりました。
最後のビットコインが発行されるのは、今から100年以上先の2140年前後とされています。最後のビットコインが発行されると、総発行量は20,999,999.9769BTC(約2,100万BTC)になります。(詳細データはこちら)
この1ブロックの追加ごとに発行されるビットコインの量は「半減期」と呼ばれる時期が来ると、発行量が半分になります。半減期を迎えるたびに、発行量は減っていきます。以下は、過去及び将来の半減期の年月とその時点での発行量を示すグラフです。
ビットコインの半減期とは?
繰り返しになりますが、ビットコインの半減期とは、新しいブロックをマイニング(採掘)するたびにもらえるマイニングの報酬のうち、新たに発行されるビットコインでもらえるビットコインが半分になるプロセスです。これは210,000ブロックごと、つまり約4年ごとに発生します。この仕組みはビットコインの供給があらかじめ決められていて、少数の人で金利やお金の供給量が決まる米ドルや日本円との大きな違いです。
過去の半減期後に到来する価格上昇フェーズ
ビットコインの半減期は、過去に3回(2023年7月現在)発生しており、その都度、大幅な価格上昇フェーズが発生しています。これらの価格上昇は、半減期により新規のビットコイン供給が減少し、売り圧力が少なくなることが影響していると広く考えられています。
第1回目の半減期(2012年11月28日)
半減期前の最低値: 2.0ドル(2011年11月18日)
半減期後の最高値: 1,239.90ドル(2013年12月5日)
(価格データ:Investing.com)
この期間中、ビットコインがメディアの注目を集め始めました。この期間中、ビットコインがメディアの注目を集め始めました。
また、2013年初頭には、地中海のキプロスにて、ユーロ圏によるキプロスへの金融支援への引き換えとして導入された銀行預金への課税をきっかけとして、金融危機が発生しました。伝統的な銀行システムの弱さがあきらかになってしまい、ビットコインに対する関心が高まったと言われています。
ビットコイン価格はキプロスの金融危機が起こった2013年から上昇を開始し、2013年末には1,200ドルを超えました。
第2回目の半減期(2016年7月9日)
半減期前の最低値: 157.30ドル(2015年1月14日)
半減期後の最高値: 19,587.70ドル(2017年12月16日)
(価格データ:Investing.com)
2013年末に1,200ドルを超えたビットコインの価格は、2015年にはその6分の1の200ドルまで値を下げましたが、2015年から徐々に価格を上げていき、2016年7月の2回目の半減期を迎えました。2016年12月から価格上昇が加速し、2017年の12月に半減期後のピークである19,000米ドルを超えます。
この時期にはビットコイン以外の仮想通貨プロジェクトによるインターネット上での資金調達(イニシャル・コイン・オファリング(ICO))が一種のブームになりました。ビットコインを含む仮想通貨が一般の人々にも知られるようになり、価格上昇が加速しました。
第3回目の半減期(2020年5月11日)
半減期前の最低値: 3,117.00ドル(2018年12月15日)
半減期後の最高値: 72,710.80ドル(2024年4月8日)
(価格データ:Investing.com)
2017年12月に19,000ドルをつけたビットコインは、2018年12月には3,200米ドルまで下落しました。2019年6月に一旦1万3,000ドルを超えましたが、半減期が近づくにつれて再び下落、2019年12月に発生したCOVID-19(新型コロナウィルス)が2020年に入るとパンデミックとなり、各国の景気が一気に冷え込んだこともあり、価格は再び下落し2020年の3月には5,000ドルまで下落します。
その後コロナ禍により落ち込んだ景気の対策として、日本を含む各国が金融緩和(お金を借りやすくしたり)をしたり、給付金を配布しましたが、このお金は、「中央銀行や政府が金利を下げてお金をばらまいた」とも言えることから、将来的なインフレーション(要はお金があふれてお金の価値が減ること)を引き起こすという懸念も加わり、ビットコインの価格は一気に上昇し、2021年11月に7万ドル近い価格をつけました。
このような「金余り」の状況下で、一部の機関投資家(ファンドなど)や大企業(テスラなど)がビットコインやその他の仮想通貨に対する投資を拡大しました。
第4回目の半減期(2024年4月)
半減期前の最低値: 15,504.2ドル(2022年11月21日)
半減期後の最高値:(?)
(価格データ:Investing.com)
2021年11月に7万ドル近い値段をつけた後、2022年に入り、アメリカの中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締め(金利を上げて、お金を借りにくくする)に転じたことなどもあり価格は下落をしはじめました。暗号通貨プロジェクトの破綻(テラUSDの急落とLUNAの崩壊(2022年4月)、セルシウス ネットワークの破産(2022年6月))や、仮想通貨ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)の倒産(2022年6月)、当時世界の仮想通貨取引所の最大手の一角だったFTX取引所の破綻(2022年11月)などの悪いニュースが相次いだことから価格は大きく下落し、2022年11月には16,000ドルを下回りました。
2024年4月頃に迎える第4回目の半減期後、過去同様に価格上昇フェーズを迎えるのかは必ずしも明確ではないですが、我々のような採掘業者の報酬が半分になることから、確実に市場で売られるビットコインの量は減ることになり、過去のように価格上昇をすることが期待されます。
2023年の半ば、アメリカの中央銀行のFRBによる利上げ(お金を借りにくくする)政策が一服し、2024年後半には景気悪化により利下げに転じる見込みです。過去の利下げの局面ではビットコインは価格上昇することが大きかったことからそれがきっかけとなって4回目の半減期後の価格上昇フェーズに入るかもしれません。